飲食店を開くには?開業手順と費用・必要な資格を解説
この記事の要点
- 飲食店の開業手順はコンセプト設計から集客準備まで全7段階
- 開業資金は600万〜1,500万円程度で3か月以上の運転資金が必須
- 食品衛生責任者の配置と保健所の飲食店営業許可の取得が必須条件
飲食店を開くには、コンセプト設計から物件取得、保健所等の許認可申請を経て開業に至る全7ステップの手順を着実に進める必要があります。開業資金は業態や規模により600万〜1,500万円程度が必要となり、食品衛生責任者の配置や飲食店営業許可の取得が必須条件です。
飲食店を立ち上げる際は、調理技術だけでなく、物件契約のタイミングや行政手続き、オープン前から逆算した店舗集客の準備が成否を分けます。開店までの全体像と押さえるべきポイントを順を追って解説します。
飲食店を開くための全体スケジュールと7つの手順
店舗の構想から実際のオープンまでには、一般的に半年から1年程度の期間を要します。準備不足によるオープン延期を防ぐため、各段階の作業内容を把握しておくことが重要です。
1. コンセプト設計と事業計画書の作成
どのような顧客層に対し、どんな空間でどのような料理をいくらで提供するのかという基本方針を定めます。ターゲット層、客単価、想定回転率を細かく計算し、収支計画を立てます。金融機関から創業融資を受ける際にも、実現可能性の高い事業計画書が不可欠となります。
2. 開業資金の調達
自己資金の準備に加え、日本政策金融公庫などの創業融資制度を活用するのが一般的です。公的融資の詳細は日本政策金融公庫の公式サイト等で最新の融資条件を確認し、面談の準備を進めます。運転資金は最低でも3〜6か月分を確保しておく計画が望まれます。
3. 物件探しと現地調査・契約
立地選定は飲食店の成否を左右する大きな要素です。視認性、駅からの動線、近隣の競合店状況、人通りの多い時間帯を平日・休日それぞれ現地で確認します。居抜き物件は厨房設備などを引き継げるため初期費用を抑えやすい一方、既存配管の老朽化などの修繕リスクも伴います。
4. 内装工事・厨房設備の設計と施工
保健所が定める施設基準(手洗い場やシンクの数、床の材質など)を満たす内装プランを施工会社と設計します。基準を満たしていないと後から再工事が必要になるため、内装図面ができた段階で保健所へ事前相談に行くことが推奨されます。
5. 資格取得と各種届出の提出
営業開始までに必要な資格を取得し、関係各所へ申請を行います。保健所への飲食店営業許可申請、消防署への防火管理者選任届や防火対象物使用開始届、税務署への開業届などが該当します。詳細は後述します。
6. メニュー開発・仕入れ先の選定・スタッフ採用
食材の仕入れルートを開拓し、原価率がおおよそ28〜35%の範囲に収まるようレシピと販売価格を確定させます。アルバイトを採用する場合は、オープン初日から円滑に店舗を回せるよう、入念なオペレーション研修期間を確保します。
7. 集客ツールの準備とプレオープン
看板設置やチラシ配りだけでなく、Googleビジネスプロフィールの登録やSNSアカウントの開設を進めます。知人や関係者を招いたプレオープン(模擬営業)を実施し、動線の乱れや提供時間の遅延がないかテストします。
飲食店の開業に必要な費用と内訳
小規模なカフェや居酒屋(10〜15坪程度)を開く場合、総初期投資額は800万〜1,200万円程度が目安とされます。スケルトン物件(コンクリート打ち放しの状態)から内装を作るか、居抜き物件を活用するかで金額は大きく変動します。
- 物件取得費:家賃の6〜10か月分(敷金・礼金・仲介手数料・前家賃など、150万〜300万円程度)
- 内装・外装工事費:坪あたり30万〜80万円程度(300万〜700万円程度)
- 厨房機器・什器・備品代:150万〜300万円程度
- 資格・許認可申請費:5万〜10万円程度
- 広告宣伝費・初期仕入れ:50万〜100万円程度
- 当面の運転資金:家賃・人件費・仕入れ代金など月商の3〜6か月分(200万〜400万円程度)
初期投資を過大にしすぎると、オープン後の返済負担が重くなり経営を圧迫します。無理のない投資額に収める工夫が必要です。

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無料で記事を作る →必ず取得すべき資格と提出が必要な届出
飲食店を営業するには、法律や条例に基づいた手続きを完了させる義務があります。
取得が必須となる資格
- 食品衛生責任者:各店舗に必ず1名以上の配置が義務付けられています。調理師や栄養士の資格を保有していない場合でも、各都道府県の食品衛生協会が実施する1日(約6時間)の養成講習会を受講することで取得可能です。
- 防火管理者:収容人数(従業員+客席数)が30名以上の店舗で選任が必要です。店舗面積により甲種または乙種の講習受講が義務付けられます。
主な許認可と届出先
- 飲食店営業許可書(保健所):内装完成後に実地検査を受け、基準適合が確認されると交付されます。
- 防火対象物使用開始届(消防署):工事完了日の7日前までに届出を行います。
- 開業届(税務署):個人事業主として開業する場合、開業日から1か月以内に管轄の税務署へ提出します。税制手続きの要件については国税庁の案内を参照してください。
- 深夜酒類提供飲食店営業開始届出書(警察署):午前0時以降に主として酒類を提供するバーや居酒屋の場合、営業開始の10日前までに公安委員会(警察署経由)へ届け出ます。
飲食店開業で陥りがちな3つの失敗例
新規飲食店の多くが数年以内に閉店を余儀なくされる要因には、共通した傾向が見られます。
運転資金を使い果たして資金ショートする
オープン当初は物珍しさから来店客が多くても、2〜3か月後に客足が落ち着くのが一般的なサイクルです。売上が計画の半分に落ち込んでも半年間は耐えられる運転資金を残しておかないと、黒字化する前に撤退せざるを得ない状況に陥るケースがあります。
保健所の事前確認を怠り内装の再工事が発生する
保健所の内装設備基準を施工会社が完全には把握しておらず、手洗い場の蛇口が非接触型になっていなかったり、シンクの寸法が不足していたりして検査に通らないケースがあります。オープン予定日が後ろ倒しになると、空家賃や人件費だけが発生する大きな痛手となります。
オープン後の集客計画が後手に回る
「良い料理を出していれば自然と口コミで広がる」と考え、WEB上の露出対策を後回しにしてしまうケースです。現在の外食市場では、近隣の生活者や勤務者がスマートフォンで店舗を検索した際に、営業時間やメニュー、店内の写真が正確に出てこなければ来店候補から外れてしまいます。
オープン直後から客足を作るMEO対策の重要性
オープン初期の認知獲得において、チラシ配布と並んで効果的な施策がGoogleマップ検索(MEO:ローカルSEO)への対応です。スマートフォンで「地域名+ランチ」や「駅名+居酒屋」と検索した際、上位に店舗情報が表示されれば、低コストで来店意欲の高い顧客を呼び込むことができます。
物件契約が完了し住所が確定した段階で、Googleビジネスプロフィールの登録申請を進めておきましょう。外観や店内の雰囲気、看板メニューの写真をあらかじめ掲載し、営業時間を明記しておくだけでも、オープン当日から近隣ユーザーの目に留まる可能性が大幅に高まります。来店してくれた知人や顧客に対して、サービス向上を目的とした口コミ投稿を依頼する体制を整えておくことも有効です。
開店準備の詳しい集客ロードマップや地域検索対策の具体例は、別記事「店舗型ビジネスのGoogleマップ集客完全手順」も併せてご確認ください。
まとめ:着実な準備と早めの集客対策が成功の鍵
飲食店を開くには、コンセプトの具体化、物件契約、資格・許認可の取得、資金調達など、多岐にわたる準備を漏れなく進める段取り力が問われます。
料理や空間作りにこだわることはもちろん重要ですが、オープン当日にしっかり認知されている状態を作ることも同じくらい重要です。事業計画を練る段階から、Googleビジネスプロフィールの開設などオープン時の集客施策までスケジュールに組み込み、安定した店舗経営のスタートを切りましょう。
よくある質問
- Q. 飲食店を開くために調理師免許は必須ですか?
- A. 調理師免許は必須ではありません。ただし、各店舗に1名以上の「食品衛生責任者」を配置する義務があります。この資格は、各自治体の食品衛生協会が開催する1日の養成講習を受講することで取得できます。
- Q. 居抜き物件とスケルトン物件ではどちらが開業費用を抑えられますか?
- A. 既存の厨房設備や内装を引き継げる居抜き物件の方が、内装工事費を大幅に圧縮できる傾向があります。ただし設備が故障していたり間取りの自由度が低かったりするリスクもあるため、設備の動作確認が不可欠です。
- Q. Googleマップ対策(MEO)は開店前に行う必要がありますか?
- A. 物件が確定し看板やオープン日が決まった段階で登録作業を進めておくことを推奨します。オープン前からGoogleマップ上に「オープン予定」として露出させることで、開店初日からの認知獲得に繋がります。
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